奇跡的なことはどこにでもある

ハーバード大学の医学部に心臓治療の権威で除細動器を発明し、ノーベル平和賞受賞された医師バーナード・ローンがいました。そのローン先生のところに重篤な心臓病の患者さんが、もうほぼ助からないという状態で運び込まれてきました。

何日目かの回診の時にローン先生が医局員達に向かって、患者さんに聴診器をあてるなり、臨終が近いということを意味する「完全なサード・ハート・サウンド・ギャロップ(第三音奔馬調)を示している」と言いました。

ところが、その日を境に患者さんは持ちなおし、ついには退院していったのです。

数カ月後、ローン先生はその患者さんに、どうして良くなったのかを尋ねたのです。するとその患者さんが「実は病院に入院した時にはもう助からないと思っていたのです。ところがある朝の回診の時に先生は私の心臓は元気だと言われましたよね」と言うのです。ローン先生は疑問に思ったのですが、すぐに思い出しました。

「ギャロップ」という言葉です。ギャロップとは〝馬が疾走する〟という意味です。先生は〝心臓が末期症状だ〟ということを言ったのですが、患者さんは〝自分の心臓はまだ馬のように元気で、まだまだ大丈夫だ〟と受け止め元気になったのです。

科学的証拠はありませんが、末期症状でも細胞などのなんらかの動きが予定されていて、健康になったのかもしれません。あるいは、言葉の力かもしれません。

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このような奇跡と思われるような話は、特別な人だけにあるのではありません。

私自身も採血の結果と触診で橋本病と都心の大学病院で診断されたことがあります。
次回、エコーを撮りましょう、となりました。

そして、エコーの日。
喉にゼリー状のようなものを塗られた後、リーダーをあてています。
しばらくすると、担当者があれ?という雰囲気になり何回も何回も見ているうちに、他の担当者を呼び寄せて、画面を見ながらなにか再確認しています。

結果、触診したときにあった腫れ物はなくなり、採血の結果も正常になっていました。
担当医は、大変驚きました。
15年以上経つ現在も、経過観察をしていますが、橋本病はもうありません。

これは言葉による奇跡ではありませんが、驚きの一つではあります。

私自身はとっくに忘れていることですが、大病や難病が治った話を聞いたり読むと、たまに思い出します。

きっと、どんな人でも忘れている奇跡的な出来事や出会いがあったことでしょう。
天から俯瞰してみれば、そうなるように予定されていたことなのかもしれませんが、人間の知識や常識では考えられないような、偶然と思われる出来事があったことと思います。

映画やテレビドラマを見ている私達は、第三者として見ています。

本人は気がついていない。
でも、「今、ここでこうなっているのに!」と見ている私たちはハラハラします。

二人が探し合っているし、すぐ傍を通り過ぎているのに、お互いが気が付かないシーン。
見ている私たちは、「ほんの一歩右側を歩いていたら!」などと思うわけです。

普段の自分たちは、その登場人物であり、探しているものはすぐ傍にあったり、すれ違っていたり、一歩前に出てみれば見つけることができるのに、出会うことができません。

しかし!しかし、ですよ。

その時に出会えなかったからこそ、違う道を進むことができて新しい出来事に出会ったり、見つけることができるのですよね。

映画館の自由席で、「ああぁ、良かった!見やすい場所で。こういうところ、希望していたのよね」というようなとき。
それも小さな奇跡でしょう。

ほかの人が別の椅子に座っていたから、ですよね。他の人にしてみれば、あなたの席はあまり心地よくなかったからほかの席に移ったのかもしれません。
あなたにとっては奇跡でも、あなたがそこに座っているのを見た、後から来た人は、「なぁ~んだ、あそこに座りたかったのに」と憤慨してしまうかもしれません。

今度は、あなたが「なぁ~んだ、あそこに座りたかったのに。ほかの人が座っている」というようなとき。
あなたはほかの席を探すことになります。でも、あなたが先にその席に座っていたら、今座っている人は別の席を探すわけです。
あなたは後から来た人ではありますが、あなたのおかげで、その人はそこに座っていられる。

そして、希望の席に座ることはできなかったけれど、隣の席の人や休憩時間のポップコーン売り場で並んでいるときなどで、偶然に、友達となれるような人との出会いがあるかもしれません。
あるいは、なにかポスターに書かれている言葉や、人の会話の中から気がつくことができ、そこからヒントを得てあなたに希望をもたらすかもしれません。

こうやってみるとどこにでも奇跡はあるのですね。

どれもこれも、小さな奇跡の積み重ねで過去も現在があるのですね。

それをたまには思い出して、自分は奇跡を起こしているし、また、人の奇跡のおかげでいられる。
これらを探してみて元気に生きていきましょう。

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